RIZINフェザー級の中で人気、
2020年11月のRIZINフェザー級王座決定戦では斎藤裕選手に
しかし、斎藤選手自身も試合後に「
今回は、運動学を生業にしているわたくしが、ざっくりと未来選手の動きを分析しました。よろしければ最後までお付き合いください。
誤解のないように追記しますと、わたしは朝倉兄弟が大好きです。
目次
ファイトスタイル
まず、ファイトスタイルですが、未来選手はあきらかなストライカータイプです。自分からグラウンドポジションへ持ち込むことは基本的にはまずありません。
猪木アリ状態になっても、相手の寝技には付き合いません。スタンドへ誘導します。サブミッションでの勝利は戦績の中でも確か1~2試合です。
基本的にはテイクダウンを試みる相手をいなして、スタンディングで勝負しようとします。これまでの試合をみる感じでは、
テイクダウン回避能力は非常に高いです。
体重や実力は違いますが、ざっくり分類すると昔のミルコ・クロコップのようなスタイルです。ミルコ選手の場合も基本的には打撃で勝負します。彼の場合は徐々に総合スタイルへシフトしていき戦績のなかでサブミッションでのフィニッシュも数試合ありましたが、、、
未来選手の打撃の技術ですが、魔裟斗選手とのyoutubeコラボでも言われてますが、パンチ力(特に左のストレートや右のフックなど)は凄まじいと予想されます。
また、膝けりや左ハイキックも得意です。日沖戦では左ハイキックが炸裂しました。
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得意な試合運び
未来選手の試合でのスタンスを一言で簡潔に表すと、
"テイクダウンをとられずにいかに打撃でポイントをかせぎ試合をすすめるか"
これに尽きると思います。
正直、KOは積極的に求めていない印象です。勝利へのこだわりはかなり強いと思いますが、倒すことへのこだわりはさほど強くないと思います。
しかし、タックルを取られるリスクがほぼなく、タックルをきれる自信が十分にある相手。また、打撃技術が自分より明らかに劣っている相手であれば、積極的にKOを狙いにいっている印象です。
抑えるところは抑えて、攻めるところは攻める。勝負師として、かなり優秀なのかなと思います。
未来選手の動作パターン
さて、では未来選手の構えです。専門用語は使わずにわかりやすく表現します。
この構えを見てわかるように、サウスポーです。あと、
いわゆる、奥足に体重を乗せています。これはファイターによってまちまちですね。また、
未来選手は前後に小刻みに軽くステップを踏みますが、基本はほぼ後方優位の重心です。
弟の海選手は、未来選手とは対象的です。俊敏なフットワークで、どちらかというと前方重心です。手数も多く、攻撃を散らします。そしてスイッチも多用します。
未来選手がなぜ、後方重心なのか。フットワークをあまり使わないのか。これは、"タックルへの警戒"が強いからだと思います。おそらく試合中は終始にわたりタックルを警戒していると思います。
彼のファイトスタイルの場合、
"打撃でダメージを与える"
基本はこの一択になります。過去の試合をみても、テイクダウン能力が決して低いわけではないです。しかし、打撃ほどの優位性(相手とのレベル差)がありません。斎藤戦でも試合展開を挽回しようとしましたが、最後までテイクダウンを奪う事はできませんでした。
彼の望む試合運びをするうえで"タックルを取られる”のは致命的になってしまいます。得意の勝ちの方程式が崩されてしまいます。
逆に考えると未来選手に勝利するのは"タックルを成功させて、膠着しない程度にポジションを支配すればよい"と思います。
では、未来選手は一体どんな時にタックルを防御できてて、
ボディロックなどでのテイクダウンでは難しい
いわゆるボディロックテイクダウンのような組み方ではなかなか難しいです。これは矢地戦です。ボディロックというよりは、割と骨盤に近い、下側の胴タックルになりましたが矢地選手は逆に投げられています。
よく見ると、タックルされた瞬間に、未来選手は両膝を下方に下げて重心を落とし、さらに両足をしっかりと地面につけて身体を安定させています。逆に矢地選手の足は浮いてしまい、物体としての安定性を失っています。
未来選手は幼少期に相撲をしていて、現在もかなりの腰の強さです。
様々な動画で未来選手の筋肉を確認しましたが、下肢・体幹の筋ボリュームがすごいです。フェザー級とは思えません。さらに自分の身体がどうやったら安定するか、理解しています。
胴タックルのあとに四つの姿勢になってしまうと未来選手を倒すのはかなり困難です。矢地選手でさえも投げられています。もしかすると内掛けや外掛けで未来選手の軸足をはらい、一緒に倒れこむ形へもっていくのはタイミングによっては可能かもしれません。
キックを掴まれてからのタックルは苦手
これは、未来選手がもっとも嫌うパターンだと私は勝手に思っています。未来選手は試合を組み立てる時に相手選手の前足へのインローを多用しますが、斎藤戦ではこれを掴まれてしまいます。
斉藤戦ではこのテクニックを何度か使われました。
未来選手の腰が強いというのは有名ですが、それはあくまで両足ともにしっかりと地面に接地している場合に限ります。
片足の自由を奪われると、軸足だけでは腰の強さはさほど関係なくなります。いわゆる支持する基底面が狭まります。片方の足底だけが地面に接地している状態なので、重心をそこからそらすと未来選手でさえもすぐにバランスを崩します。
片足タックルも苦手
前方の足を持ち上げられてタックル。いわゆる、片足タックルですね。
これもさきほどと同様なのですが、片足の自由を奪われます。斉藤戦だけでなく矢地戦でも実行されました。未来選手からタックルを奪い成功させるには
”片足の自由をいかに奪うか”
これにつきます。
タイミングとしては、奥足ではなく前足に体重が乗った瞬間がベストだと思います。未来選手の動きをみていると、前後のフットワークで、前足に体重が乗った瞬間、奥足の膝が屈曲してしまいます。
その瞬間に片足タックルされると、奥足ですぐに地面を支えられない(膝屈曲しているから)為に、タックルは成功しやすいと思います。
過去の試合動画を観ていても、未来選手に対していわゆる四つの体勢やで勝負しようと思ってもほぼほぼタックルをきられてしまうのです。単純な足掛けでも未来選手を倒すのは難しい気がします。
片足を取るしかないと思います。いわゆる柔術の引き込みも無理なように感じます。
テイクダウンを取られた後の行動パターン
次に未来選手の行動パターンの1つを紹介します。タックルを奪われた時に未来選手はある行動に出ます。これは頻繁にみられるのでお気づきかと思います。
"ロープをつかみながら、コーナーへ向かう"のです。
このロープを掴む行動は反則行為です。ただ、これまでの未来選手の試合を見返してもらうと分かりますか、試合中にテイクダウンを奪われるのは少ないです。一試合に多くも2~3回程度。なので、この反則行為で減点されるまではいきません。せいぜい注意・警告を受ける程度です。
斉藤戦や矢地戦でもコーナーへの移動がみられました。
なぜ、コーナーへいくか。それは相手が関節技を極めにくくなるからだと考えます。コーナーポストにより大きな空間が1つふさがれるので、関節技もしにくくなります。また、安定した壁が一つ出来ることで身体をもたれながらスタンドへ戻りやすくなります。
あとは、コーナーポストでガチっと身体をもたれて固定してしまうと試合が膠着しやすくなります。このとき、未来選手はブレイクで再開するのを狙っていると思います。もしくは、コーナーポストを上手に使い、立ち上がるかを狙ってると考えられます。
未来選手をサブミッションの展開へ誘導したい場合、なるべくリング中央部でテイクダウンしたほうが良いと思います。ロープ際だと、この方法で回避されます。
まとめ
ざっくりではございますが、未来選手の試合中の動作を分析していました。未来選手のフィジカルは日本人フェザー級選手のなかでは非常に強く、運動能力も非常に高いと思います。
また、冷静な試合運びと、安定した重心移動によりRIZINレベルでの試合では負けることはほとんどありません。
未来選手がいわゆるレスラーや柔術格闘家などあらゆるファイトスタイルの相手に対処し、RIZINフェザー級で無双状態になるのを期待しています。
所属ジムでもあらゆるファイトスタイルの選手とスパーリングされているようであり、今後の活躍にますます期待です。
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