先日、格闘技関連のTwitterを見ているとメジャーで活躍する大谷翔平選手についてのツイートを発見しました。
日本人歴代最強ボクサーともいわれる井上尚弥選手レベル?
UFCヘビー級王者のガヌー選手レベル?
”不滅の鉄人”さんと”ぱっくまん”さんのtweetを拝借しました ↓↓↓
格闘技と野球両方詳しいファンの方いますか?その方に聞きたいのだけど、大谷って格闘技に例えるとどれぐらい凄いの?野球全く分からないから、いまいちピンとこないw
— 不滅の鉄人 (@goooldenboy) July 4, 2021
SNSではなく、野球のガチヲタで格闘技もそれなりに全般見てる友人に「大谷って格闘技で例えるとどれぐらい凄いの?」って聞いたら、
「UFCでヘビー級日本人ファイターが現れて連続KO記録作って、ガヌーをワンパンKOして日本人初のUFCヘビー級王者になっちゃったってぐらい凄い」と言われ府に落ちた。— 不滅の鉄人 (@goooldenboy) July 5, 2021
大谷翔平と井上尚弥を同列に扱ってる人いるけど、それは流石に違くない?
モンスターが大谷と並ぶにはウェルター級やミドル級、ヘビー級とか
で世界チャンピオンになって複数回防衛しないといけないレベルかと
ボクシングと言っても層の薄い軽量級で活躍してる人とMLBで活躍してる人を並べるのは違う— ぱっくまん (@pacpacpacman_) July 5, 2021
ちなみにこのお二人は、大谷選手を贔屓しているわけでもなく、格闘家を卑下しているわけでもありません。純粋な素朴な疑問からtweetされているのだと思います。ですので、感情的になって批判するのはやめましょう。
今回は、”運動学”を生業にし、仕事上でもスポーツ選手を相手にしていますワタシが独自の切り口で解説させて頂きます。
よければ最後までお付き合い下さい。ちなみワタシは少年野球~高校野球までに渡り野球歴10年なので、格闘技と同じくらい野球好きです。
まずはじめに
- UFCのチャンピオンレベルの活躍?
- UFCとボクシングの両方でチャンピオンレベル?
- 井上尚弥選手と同レベル?
- 八村塁選手レベル?
そもそも別スポーツで活躍している選手を完全に比較するのは無理があるようです。どこを基準に比べるか。そこが難しいんですよね。
ただ、運動学を通じてスポーツ選手とも関わってきたワタシなりに簡単にではございますが少し解説させて頂きます。
まず”実績”と”希少性”に分けて比較してみてはどうかなと思います。
実績(数字でみる評価)
大谷選手は2012年にNPBの日本ハムファイターズに入団。2013年から2刀流プレイヤーとして活躍しています。
つまり投手と野手の二刀流です。
投手としての勝率は凄まじく、NPBでの5年間で勝率 .737の成績を残しています。打撃のほうでもNPB5年間で 打率.286とまずまずの成績でした。
二刀流で試合に出場する手前、それぞれの出場試合数が減るために、それぞれにおいて突出した成績を残すのは物理的に困難です。
2018年からはMLBのLAエンジェルスに入団します。周知のとおり、2021年シーズンは投打ともに爆発的な活躍しています。
- 2017年 右足関節有痛性三角骨除去術
- 2018年 右肘の内側側副靭帯損傷→トミー・ジョン手術
- 2019年 左膝蓋骨手術
- 2020年 上肢の右回内筋群の損傷
2021年の活躍が目覚ましく、興奮する気持ちも分かりますし、ワタシ自身もかなりエキサイトしているんですが、、、。
つまり、何が言いたいかというと、大谷選手は”怪我からやっと復帰し、これからメジャーでの実績を作っていく段階”です。
無敗で3階級制覇してPFP2位まで上りつめている井上尚弥選手、2015年にテニスで世界ランキング4位になった錦織圭選手、日米通算4367安打のイチロー選手。2021年に日本人初のマスターズ制覇者となったゴルフの松山英樹選手。
これらの選手とは実績でいうと比較にはならないと思います。
希少性(何年に一度の逸材か)
おそらくですが、大谷選手と他の選手を比べる議論の際に、大谷選手を最大評価している方々はここに着目しているのではないかなと思います。
希少性(きしょうせい)
この視点でみると確かに大谷翔平選手の希少性は他のスポーツの実績者より上回っているのでは?と感じます。
2刀流でメジャーへ行き、ホームラン王争いに食い込み、オールスター投票では首位。DHとして成功。投手としても成功。
松井選手も2021年7月のインタビューでこう答えています。
- 自分が現役の時は、メジャー選手たちのパワーに圧倒された。
- 『ここで長距離打者になるのは難しい』と感じていた。
- しかし、大谷選手は完全にそちら側(メジャーの長距離打者)の選手になった。
- とうとう日本人がメジャーリーグでも長距離打者となった。と感じた。
- 彼は素晴らしいピッチャーでもある。野球の長い歴史の常識を変えた、唯一無二の存在。
そうです。松井選手も認める”唯一無二の存在”なんです。
PFPとWARで比較
ボクシングやMMAではPFP(パウンドフォーパウンド)という言葉があります。これは、各格闘技において、全階級で体重差などのハンデがないとした場合、どの選手が最強かという称号です。もともとはアメリカの専門誌である【ザ・リング】によってつくられたものです。
ボクシングでいうと、井上尚弥選手が2位、井岡一翔選手が10位に入っていました。
MMAではUFCチャンピオンクラスが上位を独占しています。
PFPと同じ扱いにすることは本来はできないのですが、
MLBでも選手の格付け的なものがあります。それがWAR(WIns Above Replacement)です。
これは、打撃、走塁、守備、投球を総合的に評価して選手の貢献度を表す指標です。野球というのはあくまでチームスポーツなので、各選手のチームへの貢献度を評価しています。
2021年の本日時点ですが、大谷翔平選手はESPENのWARで14位、FANGRAPHSのWARで2位に入っています。
ただ、注意して欲しいのが投打両方でここまで高値をたたき出しているのは、近代のMLBでは誰もいないんですね。唯一無二なんです。
まとめ
先述しましたが、大谷選手は非常に恵まれた体格ですが、とても怪我の多い選手です。今は実績を作っている段階。それは間違いないでしょう。
しかし、2021年のこの活躍は本当に目覚ましく将来的にも歴史に名を刻むでしょう。これは英語記事にもたくさん書いてありますが、2021年の活躍を継続できるか。ここにMLB関係者は注目しています。
2刀流で、MLBでMVP選手になれるような選手は将来的に日本人からは現れないかもしれません。おそらく現れないでしょう!